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黄色い花の咲く頃に

黄色い花の 咲く頃に 

 
 
 二人で、種をまいたのだ。
 木枯らし吹き荒ぶ、寒い河原の隅っこで。
 二人でしゃがんで、丸っこくなって。
 
 黄色い花の咲く、草花の種だ。
 手の平に乗るほどの、四角い紙袋の写真には、タンポポみたいな丸く開いた黄金の花びら。
 隣で膝を抱えているのは、知り合ったばかりの女の子。苗字は、知らない。
 僕は、その女の子のことを、アヤちゃんと呼んでいた。
 
 それから、僕らは、毎日、種の様子を見に行った。
 芽が出ていないか、土が乾いていないか。
 うちから持ってきたペットボトルの水を、ドキドキしながら、ドボドボかけた。
 早く大きくなあれ。
 
 けれど、待てど暮らせど、芽は出ない。
「あ、ねえ、もしかしたら、ひりょうとかが、ひつよう?」
 クルリと振り向き、アヤちゃんがきく。
「……しらない」
 ってか、"ひりょう"って、なんだ?
 しょんぼりと元気をなくしてしまった女の子の手前、僕は、口を尖らせて、運動靴の前、膝下の土を、人差し指でツンツン突つく。
「コイツさあ、ほんとは、サボってんじゃねえの」
 わざと、乱暴な口ぶりで言ってやる。自分のことだって、もちろん、"オレ"だ。そんなこと、かあさんの前でなんか言ったら、すぐにこっぴどく叱られるから、絶対に、ここでしか言わないけれど。
 でも、ちょっとカッコつけとかなきゃいけない、みたいな気がしたのだ。そう、男として!
 僕は、密かに気合を入れる。
 だって、土手には、大きな犬がウヨウヨいる。怪しいおじさんだって、たまに出る。もしも、悪い奴らが襲ってきたら、僕がアヤちゃんを守らなくっちゃいけないんだから。
 けれど、ある日、アヤちゃんは、いつものように周囲を警戒しつつ「なかなか出てこないね……」とボヤいた僕に、こんなことを言ったのだ。
「だいじょうぶよ。春になったら、お花がさくわ」
 お姉さんぶって、少し得意げに。
 僕は、少なからず傷ついた。だって、それじゃあ、まるっきり、僕がなんにも知らない子供みたいじゃないか。でも、アヤちゃんだって、ママに、こっそり、きいてきたのに違いない。絶対そうに決まってる。
 シャベルで掘り返して、そこだけ色が黒く変わった河原の地面を、面白くない思いで、じっと見る。めんどくさい。花ってヤツは、すぐには、咲かないものらしい。
 その頃の僕らは、知らなかったのだけれど。
 そして、アヤちゃんの言う"春まで"は、僕らにとっては、とてつもなく長い時間だ。そう、その頃の一日は、とても、とても長かった。次のジャンプの発売日だって、全然待ちきれてなかったくらいだ。
「きれいなお花がさくと、いいねえ。あ、ねえ、春になったら、コウヘイちゃんも、──」 
 不機嫌な僕を気にしたのか、隣でちょこんと膝を抱えたアヤちゃんは、にっこり笑って振り向いた。
「アヤといっしょに、お花、見ようね」
「……約束だぞ」
 ちょっと腐って返事をする。だって、僕のプライドは、ズタズタなのだ。
「うん。約束。じゃあねえ、アヤと指きりげんまん──!」
 顔を覗き込んだアヤちゃんが、か細い小指を立ててくる。少し首を傾げた、ふっくらした頬の線。冬の弱々しい太陽が、柔らかく透かして縁取った。
 その時、僕が目を逸らしてしまったのは、きっと、太陽の光が眩しかったせいだ。
 
 
 
 

 
 
 
 僕らは、小学校がひけると、毎日、河原に急行した。
 アヤちゃんは、隣町に住んでいるから、別々の学校だ。待ち合わせてはいないけど、僕が家までダッシュで戻って、ランドセルを玄関に放り出し、又ダッシュで土手まで行くと、大抵、アヤちゃんはそこにいて、丸っこい背中を向けてしゃがんでいた。もこもこのオーバーを着てるから、転がりそうにまん丸だ。そして、遅れてきた僕を見るなり、「おっそーい!」と言って、口をタコみたいに尖らせるのだ。オーバーが赤いから、赤ダコだ。
 でも、言わせてもらえば、僕の方が不利だ。断然、不利だ。だって、僕の家は、この土手の近所じゃない。それに、水を用意するのは、僕の担当。2リットル入りペットボトルは、女の子には重いから。
 でも、僕は、そんなことは、言わない。
 そうだ。男は、ミミッチイ言い訳なんか、しないのだ。
 
 
 けれど、それから数日もすると、アヤちゃんは、土手に来なくなった。
 初めは、風邪でもひいたのか、と思ってた。けれど、一日経ち、二日経ち、それでも、やっぱり、やって来なくて──
 
 僕は、焦った。
 急いで、家まで行ってみる。実は、僕は、アヤちゃんの家を知っている。
 隣町に越してきた、可愛い年下の女の子。パパとママとが一戸建ての家に、引越しの荷物を忙しそうに運び入れている間中、赤い首輪のデカい犬にしがみき、陽の当るブロック塀で、つまんなそうにひなたぼっこしてた。そして、ポカンと見ていた僕に気付いて、小さく笑って手を振ってくれた。
 その時、僕は、慌てて逃げてしまったのだけれど。僕が何故、うちから遠い、同じ町内でもないそんな場所に、その時一人でいたのかは、もう、覚えてないけれど。
 
 不安に心を揺さ振られ、両手を振って、息を切らして駆け付ける。もしかして、花の世話なんか飽きちゃった? そんなの、どうでも良くなって? でも、──
 
 約束したのに。
 花が咲いたところを、一緒に見ようって。
 そりゃ、指切りはしなかった。だけど、約束はした。なのに──!
 
 だって、本当は、いつだって見てた。
 雨の日も、風の日も。電信柱の向こうから。犬と散歩していた、あの土手で。
 死んでも声なんか、かけられなかった。だって、そんなの、カッコ悪い。
 学校が休みの日には、隣町をうろついた。用もないのに隣町のコンビニを渡り歩いて、店員のおじさんと睨めっこで戦いながら、何冊もマンガを立ち読みした。アヤちゃんがコンビニに来るんじゃないかと、あのデカい犬の散歩に出くわさないかと、だから、土手だって隅々まで捜索した。僕より背が高いススキの裏を覗き込み、ぬかるんだ川べりに、おっかなびっくり踏み込んで。寒くなり始めた初冬の土手で、あの子が声をかけてくれるまで、ずっと、ずっと、
 ずっと──!
 
『 ねえ、タネをまこうよ、お花のタネ。ママが、ふくびきのハズレで、もらってきたんだよ 』
 
 両手で嬉しそうに見せてくれた、アヤちゃんのこぼれるような笑顔が蘇る。僕のかあさんも物干し兼用のベランダを、かんじんの洗濯物が干せないほどに、どこもかしこも花だらけにしてしまうけど、どうして、女の子っていうのは、お花がそんなに好きなんだろう。僕は、正直、そっちの方は、どうでもいい。
 けれど、
 
『 ……土があるトコなら、土手、だよな 』
 
 僕は、周囲を見回して、冷静に、そう提案する。二人が秘密を共有する、大切な場所を。
 そう、あの時、僕らは、確かに秘密を共有したのだ。
 二人だけの、ささやかな秘密を。
 なのに──
 
 走って、走って、息が切れてきた。
 でも、もう、カッコ悪い、なんて言ってられやしなかった。絶対、今、行かなきゃいけないような、そんな気がするのだ。そう、なんだか、いやな危機感を感じるのだ。胸騒ぎってヤツ。
 とにかく、走った。がむしゃらに。
 そして、やっと辿り着いた門前で、僕は、ぽかんと口を開け、立ち尽くしてしまった。
 この気持ちを、どう言ったらいいのか、わからない。だって、アヤちゃんの家は──
 
 こじんまりした二階建てのその家は、玄関前の鉄柵が、頑丈な黒い鎖でグルグル巻きに巻かれていた。路地に人がいないのを確認し、鉄柵をよじ登って入ってみたら、透明ガラスのサッシの窓も、ピッタリ鍵が閉まってる。普段は下りているテラス窓のカーテンが、全部きれいになくなっていた。だから、家の中が丸見えだ。
 フローリングの床には、何もなかった。テーブルも、ソファーも、かっこいい大画面テレビも。そこは、三方を白い壁が囲っている、ガランと大きな、ただの四角い箱だ。
 誰も、いない。
 こういうのを「もぬけのカラ」って言うんだろう。ブロック塀の内側に置かれた赤い屋根の犬小屋も、中は、やっぱり、空っぽだった。僕の顔を見る度に、牙をむき出しにして挑んできた、小生意気な "ジロー"のヤツも、一緒に消えてなくなっていた。
「……約束、したのに」
 頭の中が真っ白で、もう、何も考えられなかった。ぼうっとしつつも、とりあえず、もう一度、冷たい鉄柵を乗り越える。地面に飛び降り、道をとぼとぼ歩き出す。でも、ぼうっと歩いてても、迷ったりはしない。僕は、この町内には、とても詳しい。おかげさまで。
 重たい足を引きずって、僕は、はあ……と、息をついた。もしかすると、これが、僕の人生初めての、記念すべき溜息だったかも知れない。
 そして、途方にくれる、という意味も、この時、初めて実感した。
 
 同じような二階家が連なる、閑静な住宅地をつき抜けて、片側三車線の国道に出る。
 急に、周囲が賑やかになった。
 広い車道には、宅配車とか、タクシーとかが、ビュンビュンとばして走ってる。僕の肩下くらいまである、緑の鉄のガードレール横を、僕は、自分の足を見ながら、とぼとぼ歩く。国道を挟んだ両側の歩道には、文房具屋やコンビニやファミレスやケーキ屋なんかのお店が、ぎっしり。キツキツに詰まった列の中に、白文字・青看板の地下鉄の駅が、そこだけ異次元に通じてるみたいに、ぽっかり口を開けている。
 国道には近付かないよう、いつも、かあさんから言われていた。でも、引き返すのも面倒だった。みんな、親から、そう言われてるから、子供は、歩道にほとんどいない。大人は、ぼちぼち歩いてる。携帯でメールしながら歩く人、黒いブーツのお姉さんや、スーツにネクタイのサラリーマンや、サンダル履きのおばちゃん達や……
 甲高く尾を引くクラクション。
 携帯の着信、人の歩く音、話し声なんかで、空気がざわざわと騒がしい。国道では、赤信号で止まった車が連なって、排ガスがモウモウ立ち込めている。車道の信号が点滅し、そして、何度か赤に変わった。ああ、僕の人生も、赤信号だ。
「そりゃないよ……」
 また、溜息をつく。
 背中を丸め、ポケットに両手を突っ込んで、僕は、隙間なく舗装された足元を見ながら歩いた。うなだれた目に映るのは、歩道に敷き詰められた、四角いオレンジ色の石タイル。一つ一つにウネウネうねった変な模様が掘ってある。なんのつもりだ。
 
 その時、何気なく顔を上げたのは、置いてけぼりを食わされた僕を哀れに思って、神様がイキな計らいってヤツを、してくれたからかも知れない。
 僕は、見た。
 バッチリ見た。
 カミサマが、ニッと笑って、Vサインを繰り出すのを。
 ──いや、違う!
 向かいの車道だ。そこにいたトラックの座席に、二人の大人に挟まれて、アヤちゃんが俯いて座ってる。茶色いクマのヌイグルミを抱き締めて。
 トラックの幌の中には、引越しの荷物。隣にいるのは、アヤちゃんのママ。若くて、きれいな、あのママだ。煙草をふかしながら運転してるのは、覚えてないけど、多分パパだ。ガッシリした強そうな奴で、ハンドルを動かしながら、大口開けて、頑丈そうな歯を見せて笑ってる。いや、そんなことより問題なのは、トラックが "向こうの車線"にいるってことだ。
 僕は、慌てて、向こうへ渡る信号を探す。
 キョロキョロ顔を振り回し、歩道の先に、やっと発見。でも、随分遠い。それに、トラックの進行方向とは、逆側だ。向こうの車線は、今、ちょっと、つまってるけど……
 ──このまま、車道を突っ切ってやろうか?
 一瞬チラリと、イケナイ考えが頭をよぎるが、でも、この六車線道路に満杯の車が、全部一斉に動き出したら、テレビのアニメみたいにヒョイヒョイかわして、渡り切る自信なんて、僕には、ない。現実はシビアなのだ。そう、この辺の車はトバすから。
 横断歩道は、遠い。
 トラックは、動き出しそう。
 そして、僕は、空を仰ぐ。
 カミサマ。どーして、僕に、いじわるするんですか!?
 頭の中で、イケズな神様にケリを入れ、僕は、仕方なしに、逆方向の横断歩道に向かって走り出した。
 
 信号が青に変わるのを、苛々しながら、僕は、待つ。
 青になった途端、フライング気味に、もちろん、ダッシュ。向こう岸の "消火栓"の赤鉄棒を片手でキャッチし、その反動でユーターン。
 ブン回されて、体が浮いた。
 おばさんが、キャッと喚いて、慌てて避けた。男の人の怒鳴る声が聞こえる。「これだから、近頃のガキは──!」
 でも、悪いけど、僕は、今、それどころじゃないのだ。
 オレンジ色のタイルを蹴って、排ガスをまき散らす引越しトラックの後を追う。
 僕は、走る。
 頑張って、走る。
 歯を食いしばって、しゃかりきに走る。全力疾走だ。こんなに一生懸命に走ったことは、いまだかつて、一度もない。かあさんが黄色い声を張り上げて、デジカメ振り回して応援してた、一世一代の徒競走の時だって、なかったと思う。
 冬なのに、熱かった。
 空気が頬に冷たくて、喉がヒーヒー痛かった。
 もう、汗びっしょりだ。
 でも、次の信号が赤になれば、そこで追いついてやれる自信はあった。こっちの車線はつまっているし、タイミングだって、ドンピシャだ。
 何を隠そう、足は速い。僕は、サッカー・チームのエースなのだ。ああ、ヤマジ達とサッカーやってて、本当に良かった。誘ってくれたヤマジに感謝。でも、アヤちゃんを、内緒でこっそり「かわいいだろ?」と見せてやったら、あいつ「そうでもない」なんて言いやがったから、密かに絶交してやったけど。
 あのトラックに追いついたら、僕は、アヤちゃんに、なんて声をかけよう?
 僕を見たら、アヤちゃん、驚くかな。きっと、茶色のクマを放り出し、あの目をまん丸く見開いて、トラックの窓から落ちそうになるほど手を伸ばして、そして、──
 
 ああ、神様! 
 僕のお願い叶えてくれたら、僕の内緒の宝物「ヤッターマン・カード」三枚、さし上げますっ!
 
 けれど、
「──あ!?」
 トラックは、赤信号をスルリとかわして、白い横断歩道の向こうに抜けてしまった。
 僕は、呆然と、立ちつくす。今のは、"赤"だろ? きっちり "赤"だ。
 そして、"赤"は "とまれ"のサイン。ほ〜ら、子供だって知っている。そんなの、万国共通の交通ルールだ。なのに──
 
 カミサマ、そんなの、反則だろ!?
 
 パパの良識のなさを、心底、恨む。狭い日本、そんなに急いで、どこへ行くのだ……?
 カクカク笑って崩れそうになる膝に手を当てて、肩で大きく息をついていた。大口開けて酸素をゼイゼイ吸い込んでいるから、油断すると、口の端からヨダレが垂れてきそうになる。次の信号でトラックが止まるまで走り続ける自信なんて、もう、ない。
 お気に入りのナイキをすり減らし、歩道の大人に怒られて、カミサマに裏取引を持ちかけてまで追いつこうとした僕の努力は、けれど、パパのあこぎな反則技により、無残にも粉々に粉砕されてしまった。そして、僕のカミサマは、「ヤッターマン・カード」三枚には、あんまり興味がなかったみたいだ。
 ずっと走りっぱなしで、立ってることすら、しんどかった。本当は、大の字に伸びてしまいたかったけど、まさか、そういうわけにもいかないから、息をからし、おでこの汗をジャンバーの腕で何度も拭いて、タイルの歩道に両手をついて四つん這いに這いつくばる。
 あの花が咲いたところを、アヤちゃんと二人で見るはずだった。
 ぽかぽか暖かい春の日に。
 黄色い花の、咲く頃に。
 ぽたぽた落ちた僕の汗で、オレンジのタイルが黒く染まった。ぎりぎりセーフで信号をかわしたトラックは、スピードをグングン上げて走って行く。けれど、僕は、へたりこんだ歩道の上から、それを見送ることしか出来なかった。
 ヘトヘトにへばった僕の目の前で、トラックは、アスファルトの黒い路上を遠ざかって行く。そして、ママの隣の助手席で俯いていたアヤちゃんは、やっぱり僕に気付くことなく、トラックは、交差点の角を曲がって、そのまま見えなくなってしまった。
 排気管からまき散らした、灰色の排ガスだけを、僕に残して。
 
 
 
 それから、僕は、土手に行かなくなった。
 だって、あんな吹きっさらしの寒い所、一人で行ったって、しょうがないし。
 傷心の僕は、カミサマが見向きもしなかった「ヤッターマン・カード」三枚で、ヘソを曲げたヤマジに詫びを入れ、ヤマジ達のグループに、さん然と復活した。
 
 そうして月日は過ぎていき、
 
 僕は、いつしか、白と黒のサッカー・ボールを追いかけ回すことだけに夢中になった。
 そうそう、特筆すべきことが、一つある。
 僕は、カミサマのヤツと絶交した。
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 中学は地元の公立だったが、辛くも合格うかった高校は、お決まりの電車通学だった。
 腐れ縁のヤマジと一緒だ。頭のレベルは、全体から見て、中の下といったところ。あの日、カミサマと絶縁した関係で、受験の時にも"神頼み"なんてものは全く一切しなかったから、きっと、幾つもの不慮の不運が重なって、こういう不本意な結果に相成った、と、そういうことだ。まあ、それは、どうでもいいけれど。
 そう、僕は、サッカーさえ出来れば、それでいいのだ。サッカーしてると、女の子にモテるし。
 去年のバレンタインの戦歴は、全部で三個というところ。母さんからの分は、もちろんカウントしない。ヤマジなんかと同点なんて、ちょっぴり不満ではあるけれど、まだニ年になったばかりだから、こんなもんでも仕方ない。僕の今までの経験では、レギュラーとって、部活でもっと活躍すれば、チョコの獲得数もジリジリ上がっていくものなのだ。
 もっとも、いつだって、事前の根回しは不可欠だが。
 
 けれど、そんな僕にも、好意を持ってくれる女の子が現れた。
 同じクラスのサトコちゃんだ。クルクル巻き毛で、よく笑う、明るい、ひまわりのような女の子。
 中学の時にも、そうだったけれど、部活なんかでも一生懸命頑張っていると、あんまり知らない女の子から、こんな風に告白コクられることが、たまにある。そして、元が男子校だったうちの学校は、未だに女子は少なくて、男子の三分の一しかいないから、女の子自体がとても貴重な存在なのだ。
 けれど、僕は、結局、断ることにした。放課後、校舎の裏で、ひっそりと──とかのシチュエーションは重いから、水泳の授業の自由時間に、プールの端っこに手招きで呼んで、「悪いけどさ、──」と話を切り出す。
 だって、ノラないものは、しょうがないだろう?
 そう、どうにも乗らないのだ、気分が。
 サトコちゃんは、一瞬、驚いたように目を見開いて、そして、健気にも、首を振った。
「ううん。こっちこそ、ごめんなさい。──あ、わたしなら、大丈夫よ。この話は忘れて」
 ……ああ!? ごめんね、サトコちゃん!?
 無理して笑う顔が、痛々しい。オレって、なんて罪なヤツ──
 と、ひょいと、黒い頭が割り込んだ。
 ヌッと出てきたノッポのニキビが、もっともらしい顔で、チッチッチ……と指を振る。
「ああ、ダメなんだよなあ〜、サトコちゃん。前にコイツ、女にこっ酷くフラれたことがあってさあ。それ以来、そっちの方は、からきしダメで……」
 おや。
 誰かと思えば、前に、うっかり口を滑らしたヤマジ君ではあーりませんか。
「──なあ? コウヘイちゃん?」
 ヤマジのお調子者アホが、ニヤニヤしながら、ひとの脇腹を小突いてきたから、速やかにプールに沈めてやった。何か言いたそうなサトコちゃんに「じゃあ……」と短く声をかけ、二人に早々背を向ける。
 苛々する。
 もちろん、僕だって、女の子は嫌いじゃない。いや、実を言えば、とっても好きだが、アヤちゃんとの思い出は、もっと深い場所にある。そんな風に、イヤラしく括られるのは、嫌だった。
 二人から離れ、水中に踏み出す。
 脚に、進む体に、水の重たい抵抗を感じながら、僕は、ムシャクシャしながら、その場を離れる。別に、サトコちゃんのことは、嫌いじゃない。顔も可愛いし、ファンだって奴も、密かに多い。でも──
 自由時間の歓声が、耳に付いた。
 陽を弾く水飛沫、ふさげ合う女子の笑い声。サトコちゃんに返事をするのに、こんな慌しい場所を選んだのには、重いシチュエーションが苦手だからという他に、もう一つ、重大な理由があった。
 女の子に泣かれるのは、嫌だから。
 剥き出しの肩に、腕に、真夏の太陽が照りつけてくる。ジリジリと。強烈に。だから、もうすぐ夏休み。僕みたいな学生にとって、夏は、魅力的な季節には違いない。休みは長いし、好きなことが出来る。キャンプ、バーベキュー、輝くビーチ、そして、水着のお姉さん。
 けれど、僕は、もっと穏やかで、優しい季節の方が好きだ。例え、吹きさらしで、木枯らしが顔に吹きつけても。
 水中から復活したヤマジが「なに怒ってるんだよー?」と、首を捻りながら追ってくる。それに構わず、向こう岸で手を振っている仲間の方へと戻りかけ、ふと、足を止めた。
 プールに張られた透明な水が、ゆらゆらと青く光っていた。歪んだ水中の足元には、コースを区切る白いライン。くっきりと青い夏空を仰げば、ムクムクと盛り上がった入道雲が、いやに立体的に浮いていた。そういえば、あれ以来、あの土手には行ってない。
 そんなこと、今の今まで、すっかり忘れ果てていた。部活の方も結構ハードで、ヘトヘトになって帰宅するのは、大抵、夕方というより夜だったし、いや、そもそも、あんな何もない所に、特別、用もないんだし──
 ただ、毎年、春になると、気分がなんとなく浮ついて、あの土手の方角が、何故だか、やたらと気になった。理由は、よく分からないのだけれど。
「でも、一人で、行ったって仕方ないし──」
 ふと、何か、重大なことを、忘れているような気がした。
 
 
 
 そんなことを、何故、急に思い立ったのか、実のところは、よく分からない。
 多分、あのヤマジのヤツが、生意気にもデートだとか抜かして、こっちとの映画の約束を、浮かれてドタキャンしやがったからだ。それとも、重いコートが要らなくなって、単に身軽になったからか。とにかく、「ちょっと行ってみようかな……」と、なんとなく、そう思ったのだ。
 思い立ったら、昨日の夜は、よく眠れなかった。遠足を明日に控えた小学生みたいに、ゴロンゴロンと何度も寝返りを繰り返し──
 だから、今日は寝不足で、夜の商売の人のように、昼の日差しがシパシパと眩しい。
 
 季節は、春になっていた。
 ジーパンのポケットに指を引っ掛け、擦り切れたナイキで、ブラブラ歩く。吹きさらしの土手の歩行路は、吹き付ける風が、意外と冷たい。──いや、かなり、冷たい。
「……な、なんで?」
 計算が狂って、しばしの間、立ち尽くし、一人、誤算に首を傾げる。予定では、もっと、暖かい陽気の筈だった。
 そう、春っていうのは、もっと、ぽかぽかしてるもんだとばかり思ってた。それに、意外にも風が強い。春になったら、河原に行く──僕の頭に、いつの間にか組み込まれていたパブロフの犬的計画では、決行日は、もっと、ぽかぽか陽気の筈だったのだ。そう、こんな筈じゃあ──
「……まあ、現実は、こんなもんか」
 肩透かしを食らった気分で、溜息をつく。そう、とかく現実は、シビアなものなのだ。僕は、身を以て、それを知っている。あのトラックに置いてけぼりを食らった、あの日から。
 胸のどこかで奇妙な失望を味わいつつも、気候については諦めて歩く。文句を言ったところで仕方ない。
 視界に真っ直ぐ伸びているのは、覚えのある土手の道。ここは、変わらない。月日は経っても、場所は、すぐに分かった。ああ、随分と、ご無沙汰だ。
 真っ直ぐ空を指す草の葉が、活き活きと風に揺れていた。
 伸び放題の緑の斜面を、重力に体を引っ張られるに任せ、全身の力を抜き切って、足だけでズンズン降りていく。けれど、目は、あの場所を探していた。
 そう、多分、僕は、"あれ"がどうなったのか、見届けておきたかったのだ。
 あの頃の高い体温が、僕の体に残っている内に。
 
 かったるい足を動かして、その場所に向かって、ぶらぶら歩く。そして、それを見つけた時、僕は、我が目を疑った。
 半ば呆然としながら、そちらへ近寄る。不思議と、周囲に、人はいなかった。──ああ、丁度、桜のシーズンだから、派手なそっちの方に集っているのか。ここの土手の歩行路も、ご多分に漏れず、桜並木になっているから、近所のおばちゃんやら、おっさんやらが、ゆっくり集団で歩きながら、薄桃色の小花群を嬉しそうに見上げている。
 でも、春の花が春に咲くのは、当たり前のことだろう?
 別に、不思議なことでも何でもない。あの人達が、何故ああも嬉しそうな顔をするのか分からない。僕なら、マックのクーポンをもらった方が、よっぽど嬉しい。配ってる娘が可愛いかったりすると、もっと嬉しい。
 
 ……それは、ともかく。
 
 吸い寄せられるように、僕の足は速まる。
 だって、さっぱり訳が分からない。僕らが作ったあの花壇は、大きくても30cm四方くらいのものだった。なのに、
 
 一面に、黄色い花が咲いていた。
 そこにあったのは、二メートル四方にも広がった、黄色いお花畑だったのだ。そんなものには、とんと興味のない普段の僕だが、この時ばかりは綺麗だと思った。ああ、あんな桜なんかよりも、ずっと、ずっと──
 足元を埋め尽くし、びっしりと密生した、黄色の分厚いカーペット。そして、ふと、"そのこと"に気付いた僕は、あんぐり口を開け、呆然と立ち尽くしてしまった。花の種類には詳しくないから、あの種袋に描かれていた花が何だったのか、そんなことは、全く知らない。でも、僕が思うに、あれは、もしや──
 雑草の種だったのか?
 ……なんだ、お前ら。隣の雑草より、よっぽど逞しいじゃねーかよ。
 ひ弱な草花なのかと思っていたら、周りの地面にまで侵食し、領土を拡大しているし。
 葉や花の色艶も、いい。周りのシケた葉っぱなんかとは、比べ物にならない。茎なんかも太くて短くて頑丈そうで、どっしりしている、というのか何というのか、動物ならば「まるまる太った」とか「図太い」とかいう表現がピッタリだ。
 脱力の思いで、項垂れる。だったら、家からセッセセッセと水を運んでやった、あの日の苦労は何だったのだ? 重たい2リットル入りペットボトル。それを、両手で抱えて毎日毎日。体の小さな小学生には、結構コタえる重労働だったのに。水なんかなくたって、こんなに立派に育つんじゃねーかよ。それにしたって、福引を開催した隣町・町内会の責任者──!
 いくらハズレだからって、もっとマトモなヤツ用意しとけよ……。
 あの途方もない徒労を思って、深く深く項垂れる。いや、別に、文句をつける筋合いじゃないけどさ。
 花達は、健気に──というより、そりゃあもう逞しく咲き誇っていた。周囲の雑草なんか、グイグイ脇に押し退けて。その様は、あたかも、人の世話なんか、初めから要らなかったかのように見えた。けれど、それでも、きっと──
 僕は、思い直した。
 花達は、毎年咲いて、こうやって、僕らを待っていたんだろう。一向にやって来ない、二人の幼い友人を。こんなに綺麗に咲いたよ、と、ほころんだ花を見せる為に、いつか、やって来るだろう友を待ち続け、だから、零れ落ちた種から発芽して、こんなにも増えてしまったんだろう。時折、降り注ぐ雨水だけで、自分に与えられた領分を守って。
 だって、よく見りゃ、コイツら、なんだか、とっても得意げだ。頭でっかちの黄色い花を、一斉に揺らすその様が、我も我もと競って話し掛けてくるようで、僕を歓迎してくれてるようで。なのに、こっちときたら──
 思わず、微笑う。
「オレ達は、薄情だよな……」
 ふと、口を噤んだ。
 口から零れ出た自分の低い声が、清らかなこの場所に、何か決定的に相応しくないような気がしたのだ。
 そう、毎日聞いている筈なのに、僕の声は、ひどく変で、耳障りな響きを持っていた。そして、奇妙に歪んだ違和感は、僕に"それ"を知らしめるのに十分だった。

 絶対的な "時"の隔たりを。

 愕然と、した。
 もう、戻れはしないのだ。あの子と遊んだ、あの頃には。
 もう、会えはしないのだ。あの小さな女の子には。
 大好きだったアヤちゃんには。
 
 川面(かわも)を渡った強風が、午後の土手を浚っていった。
 一陣の風に、桜が吹雪いて舞い踊り、伸びやかな青葉の波が、サラサラと涼しげな音を立てている。大きな頭をザワリと揺らして、一面の花が一斉に靡いた。僕は、なんとか息を吐く。
 潮時だった。
 もう、いい加減、諦めるべき時だった。だって、僕だけが "ここ"で待っていたって、この先には、何もない。決着は、とうについた筈だ。僕は、はっきりと負けたのだ。
 そう、僕らの"未来"は、分かたれている。
 初めから、そういう運命だったのだ。トラックと追いかけっこなんかしたって、小学生の僕に勝てる筈がなかった。アヤちゃんの家が何処へ越していったかなんて、苗字すら知らない、あの時の僕に分かる筈がなかった。
 僕らの "未来" は、断ち切れている。
 僕が追いつけなかった、あの時に。
 
 長く、息を吐き出した。
 胸にぽっかり穴が空き、その分だけ軽くなる。
 いっそ、気分がサバサバした。馴染みのある一角は、一面の花畑になっていた。僕を慰めてくれてるかのように。それだけ見れば、十分だった。頭上に広がる青空を眺めて、うーん……と、腕を付き伸ばす。いい天気だ。
 春の河原は、気持ちがいい。風は、まだ少し冷たいけれど。
 あの女の子は、いなかったけれど──
「いる訳がないって……」
 未練たらしい自分を、苦笑いで笑い飛ばし、旺盛に伸びた青草の上に、ゴロリと横になってみる。そう、僕はもう、歩き出さなければならない。
 振り仰いだ大空は、刷いたような雲を浮かべて、地球を薄青く包んでいた。太陽が眩しい。底知れぬ空に抱かれ、目を閉じる。別に、急いで帰ることも、ない。
 ぼうぼうに伸びた青い香が、寝転がった鼻先をくすぐる。その後、うっかり、そのまま寝入ってしまったのは、僕が不精だからって訳じゃない。僕は、所構わず寝転がったりするような、そんな傍迷惑な、尚且つワイルドな奴なんかじゃ、断じて、ない。そう、この時は、たまたま、だ。きっと、たまたま、昨日、貫徹したから──
 
 その気配に気付いたのは、それから、しばらくしてのことだった。
 誰か、いるのだ。あの花畑に。
 ムッとして、身を起こした。
 別に、僕のものって訳じゃないんだが、これまで一度だって様子を見に来たことなんかなかったが、だから、こんな花が咲いてたことなんて、今日の今日まで知らなかったが、
 けれど、それでも、あの子との思い出が踏みにじられてしまうようで、赤の他人には立ち入られたくないようで──
 いや、そもそも、あの種撒いたの、僕じゃないか!?
 ペットボトルで、水だって、やった。
 ──よしっ! と気合を入れて、立ち上がる。
 文句を言う資格は、多分あるぞ! 自分!
 
 気を強く持って、そちらへ踏み出す。
 そうだ。
 見も知らぬ他人なんかに、踏み荒らされてなるものか。ここは、ひとつ、毅然とした態度を見せとかないと!
 そこにいたのは、一人の若い女だった。
 背を向けているから、顔の美醜は分からない。相手が女の子なら、大抵のことは大目にみちゃう大らかな僕だが、そいつらを摘んだりしたら、許さない。これは、僕だけのものじゃない。そして、僕の大切なものなのだ。
 憤然と近寄る僕の目に、女の後ろ姿が近付いてくる。ほっそりとした後ろ姿だ。着ているのは、ベージュ色の薄いコートと、膝までの白っぽいスカート。髪は茶色く、長さは腰まで、それから──
 ふと、彼女が振り向いた。
「え──?」
 息を、呑んだ。
 一瞬、何が起きたか分からない。頭の中が真っ白になって、僕は、その場で棒立ちになった。そして、唖然と固まった僕の中で、突如、例のカミサマが復活した。
 よっこらせ、と、他所様の壁にでもよじ登るような感じで。そう、実に久々、唐突に。
 生憎と発想が貧困なもので、僕のカミサマも巷でよく見る規格品仕様の外見なのだが、白髭・白衣のその人は、ニッと笑って、Vサインを繰り出してくる。前々から思っていたことだが、どうも、僕のカミサマは、親しげっていうか、軽いっていうか、威厳がなくて、よろしくない。
 ……とにかく!
 僕は、やっぱり、アナタを信じることにします! カミサマ!
 だって、これは、──
 
「おっそーい!」
 
 肌寒い春の風が、長い髪をサラサラと浚った。
 よくあるベージュのスプリング・コート、中は、多分ワンピース、茶髪のかかる薄い肩、細い首に銀のアクセサリー、そして、何より、僕がよく知るあの面影──
 
 そう、だって、これは、奇跡だ。
 あの時の女の子が、腰に手を当て立っていた。いや、あの頃より数段綺麗になった、あの女の子アヤちゃんが。
 変わってない。ちっとも、だ。そう、いつだって、そう言って、僕のことを怒るんだ。なんだか、とっても理不尽な理由で。
 突然の再会に、僕が呆気にとられて突っ立っていると、アヤちゃんは、プリプリしながら抗議した。
「んもう、遅いんだからぁ! " 約束だぞ "って言ったの、コウヘイちゃんでしょ? いったい、何年待たせる気?」
 
 ……何年、、
 
 言い返すどころか、身じろぎ一つ出来なかった。
 だって、僕は、気付いてしまったから。そう、
 
 約束を破ったのは、僕の方だ、、、、
 
 会えたのは、多分、偶然じゃない。
 アヤちゃんの足元には、高さ20cmくらいの青いキャップのプラスチック・ボトル。母さんがガーデニングしている、うちの二階のベランダで、これと同じ物を見たことがある。白いボトルの紙ラベルには、単純化された三輪の花の絵、上書された太字は「液体肥料」。何に使うものだか、今なら分かる。
 そう、これは、奇跡なんかじゃない。あの日、引っ越して行ったアヤちゃんは、こいつらと一緒に、ちゃんと、ここで待っていたのだ。越した町から、たまに様子を見に来ては、一人でこいつらを育てていたのだ。僕が夢中でボールを追ってる間にも、ヤマジ達と馬鹿面下げて爆笑している間にも、たった一人でここへ来て、あの日の約束をきちんと守って。
 
 少し冷たい春の風に吹かれて、黄色い花々が揺れていた。
 あの花達は、こうして毎年、花を咲かせていたんだろう。花が咲き、葉を枯らし、種を落として冬を越し、そして、再び、一斉に芽吹いて、毎年、毎年、僕らを待って、幾度も萌芽を繰り返し。
 そして、アヤちゃんは、ずっと、ここで待っていた。この花達が咲く頃に。
 僕がここへやって来るのを、毎年、毎年、一人で待って、まだ冷たい吹きっさらしの春の風に吹かれながら、一人ここで、日が暮れるまで──
 息を呑んで目を瞠ったまま、僕は、ただの一歩も動くことが出来なかった。
 アヤちゃんは、真っ直ぐ目を向けて、ヒールのサンダルで歩き出す。
 
 黄色い花の、咲く頃に、
 呆然と下ろした僕の手へと、そっと、白い手を差し伸ばす。
 
 黄色い花の、咲く頃に、
 アヤチャンの手が、僕の手に触れる。眩しい春の陽の中で、
 
 僕らの "未来" が繋がった。
 
 
 
 


〜 黄色い花の 咲く頃に 〜

 
 
 

 
 
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